いつも旬な男の物語(175)〜俺は教師だ!「今、一番綴りたいこと㊾」〜

彼女のことはほとんど思い出すことはなかったが、このブログを書くにあたって偶然 振り返ることができた。 当時の手紙やお守りは多分もう俺の手元にはないかもしれないが、記憶に刻まれた思 い出は振り返れば振り返るほど鮮明に思い出されてくる。 俺の中で…

 いつも旬な男の物語(174)〜俺は教師だ!「今、一番綴りたいこと㊽」〜

遠距離文通しながら彼女と俺はお互いの近況を伝え合っていた。 彼女からの手紙が待ち遠しく、郵便屋さんのバイクの音が聞こえるたびに俺はポスト の中を見に玄関先まで出て行った。 手紙が来ていたらその日は飛び跳ねるぐらいに嬉しかった。 来ていないと面…

 いつも旬な男の物語(173)〜俺は教師だ!「今、一番綴りたいこと㊼」〜

彼女と喋っている間、俺は100円硬貨がどんどん消費されていく音を聞きながら、電 話が切れないように手に硬貨を握りしめていた。 前もって1000円札を売店で両替してもらっていたが、それでもどんどん減っていき、 途中で硬貨が無くなって電話が切れそうにな…

 いつも旬な男の物語(172)〜俺は教師だ!「今、一番綴りたいこと㊻」〜

掲示板には二人の名前は載っていなかった。 勉強不足でもあり何となく厳しいかなと俺は思っていたが、目の前に自分の名前が無 いのを見ると流石にガクッときた。 せめて彼女のはという思いで見たが、彼女の名前も無かった。 ひょっとして見落としたのかもと…

 いつも旬な男の物語(171)〜俺は教師だ!「今、一番綴りたいこと㊺」〜

二人で切ない気分に浸っていると、遂にバスが到着した。 彼女と俺は握手をしながら「合格は電話で知らせるよ」「ありがとう。二人とも受か ってるといいね」と言葉を交わした。 「じゃあ、またその時」と俺。 「うん、待ってるね」と彼女。 扉が開き彼女はバ…

 いつも旬な男の物語(170)〜俺は教師だ!「今、一番綴りたいこと㊹」〜

電車の揺れで微睡からふと目を覚ますと、左肩に軽い重みを感じた。 見ると彼女の頭が俺の肩にもたれかかり、気持ちよさそうに眠っていた。 身体がほぼ密着していたこともあり、彼女の体の温もりも感じ、俺は再び軽くまどろ み始めた。 途中で私鉄から国鉄に…

 いつも旬な男の物語(169)〜俺は教師だ!「今、一番綴りたいこと㊸」〜

あまりにも自然の流れに乗って進んでいく有様は、ひょっとして無意識の為せる業だ ったのかもしれない。 まるで小さな子どものように無邪気で、その時の雰囲気がとても心地よくて、自分の 力の及ばない見えない力に誘われて動いているような感覚だった。 高3…

 いつも旬な男の物語(168)〜俺は教師だ!「今、一番綴りたいこと㊷」〜

二人で川のほとりを歩いていると、彼女の身体と俺の身体が軽く触れ合った。 昨日知り合ったばかりの女の子とこうやって肩を並べながら川辺を歩いているなんて 一昨日までは全く想像もしていなかった。 昨日も午前中の試験が終わった時、俺が声をかけなければ…

 いつも旬な男の物語(167)〜俺は教師だ!「今、一番綴りたいこと㊶」

俺は一人で帰る電車の中で今日一日の出来事に思いを巡らしていた。 「こんな偶然があるなんて信じられない!」 「これは本当にあったことなのか?」 「明日になれば彼女も俺も今日のことを忘れてしまってるんじゃないか」 などなど明日の試験のことではなく…

 いつも旬な男の物語(166)〜俺は教師だ!「今、一番綴りたいこと㊵」

同じ電車に乗って彼女の降りる駅までの間もずっと喋っていた。 まもなく彼女の降りる駅が近づいてきた時に、彼女が俺に行った。 「明日、試験が終わったら〇〇に行きたいな」 「うん、いいよ」 「ありがとう。そこは初めてだから川のほとりを歩きたいなと思…

 いつも旬な男の物語(165)〜俺は教師だ!「今、一番綴りたいこと㊴」

午後の試験が終わると、彼女は俺の方を見た。 俺も彼女の方に目を遣った。 昼休みに一緒にご飯を食べたことで、二人の仲は昼食前とは明らかに変化していた。 たった1時間のふれあいが二人の間を親密にしていた。 彼女は遠く九州から受験のために出てきていた…

 いつも旬な男の物語(164)〜俺は教師だ!「今、一番綴りたいこと㊳」

ブランコに腰を掛けながら二人で昼ごはんを食べた。 何を食べたのか、俺の頭の中ではいろいろな物が浮かんでくる。 近くのコンビニで豚まんを買って食べたのか。 持参したお弁当ー彼女は手作りサンドイッチを持ってきて食べ、俺はおふくろの手作 り弁当ーを…

 いつも旬な男の物語(163)〜俺は教師だ!「今、一番綴りたいこと㊲」

二人は一緒にフランス語学科の受験会場に向かって歩いて行った。 その会場の中に入ると、そこは階段式のとても広い講義場だった。 受験番号と座席の位置を確認すると、彼女と俺はかなり離れた場所だった。 講義場の中に入る時に「ありがとう」とお互いに礼を…

 いつも旬な男の物語(162)〜俺は教師だ!「今、一番綴りたいこと㊱」

高3の大学受験の時の思い出をここで綴っておこう。 教師との思い出ではないが、俺にとっては胸がキュンとするような淡くて切なくて 砂漠の中で巡り合ったオアシスのような出来事だった。 俺は国立大学の外国語学部(フランス語学科)を受験した。 何故フラン…

 いつも旬な男の物語(161)〜俺は教師だ!「今、一番綴りたいこと㉟」

高校3年間の担任の先生との思い出を振り返ってみると... 1・2年と受け持ってもらった中林先生から学んだことは...年配ながらも自分から気さ くに生徒に関わっていこうする「普段着の教師像」に接し、その辺のおばちゃんとい う親しみやすさも生徒たちには必…

 いつも旬な男の物語(160)〜俺は教師だ!「今、一番綴りたいこと㉞」

高3の夏休みに俺の進路を変えるきっかけとなったのは「20ヶ国語ペラペラ」(種田 輝豊著)という本だった。 本屋でこの本を見つけて少し立ち読みをしたら「よし!俺もいろんな国の言葉を学ぶ ぜ!」と大いなる刺激を受けた。 それを買って電車の中で貪るが如…

 いつも旬な男の物語(159)〜俺は教師だ!「今、一番綴りたいこと㉞」

俺もいよいよ将来の進路を考える学年になった。 担任は40代中頃の男の先生になった。 数学の八瀬先生で、顔は四角いが温厚で笑福亭仁鶴に似ていた。 高3の思い出と言えば、ひとりの友人とのことが強く印象に残っている。 彼とは高2の時に同じクラスになり、7…

 いつも旬な男の物語(158)〜俺は教師だ!「今、一番綴りたいこと㉝」

焼香をあげている時のことは覚えていないが、式の終わりにマイクロバスに乗って焼 き場へと向かう彼女の顔は鮮明に心に残っている。 参列者から見える側の窓際の席に座り、遠くの方を見ていた。 その彼女の顔を見た時、深い悲しみが俺の胸に湧き起こり茫然と…

 いつも旬な男の物語(157)〜俺は教師だ!「今、一番綴りたいこと㉜」

俺の大好きな彼女がホームルーム合宿に参加できなくなってしまった。 彼女のお父さんの状態がとてもよくないらしくて、そばを離れられないという状況 だった。 そのことを知らされた時、俺はとてもがっかりして世の中で楽しいことがなんにも無 くなってしま…

 いつも旬な男の物語(156)〜俺は教師だ!「今、一番綴りたいこと㉛」

高2のホームルーム合宿が俺の中で強く印象に残っているのは、同じクラスに大好き な女の子がいたからだ。 薄茶色で長い髪の毛をしていて、風が吹くとその髪の毛がふわっとたなびく姿がとて も美しかった。 面長で少しふっくらとした頬と切れ長で一重瞼の大き…

 いつも旬な男の物語(155)〜俺は教師だ!「今、一番綴りたいこと㉚」

高2の担任も1年の時と同じ中林先生だった。 年配ではあるが、何かと生徒と関わろうとする先生で、近くのおばちゃんみたいな雰 囲気の先生だった。 この高校では1年時は1泊2日で、2年時は3泊4日でホームルーム合宿というものがあっ た。 このホームルーム合宿…

 いつも旬な男の物語(154)〜俺は教師だ!「今、一番綴りたいこと㉙」

俺も高校生になり、また一歩おとなに近づいた。 高1の担任は年配の女性だった。 家庭科の中林先生で、高2も同じ担任だった。 高校は中学と違って通学圏が広くなり、知らない名前の中学ばかりだった。 最初は名簿の順番に座り、言葉を交わすのは俺の前後の生…

 いつも旬な男の物語(153)〜俺は教師だ!「今、一番綴りたいこと㉘」

石山先生の言葉に少し不安を覚えながら帰宅すると、おふくろが「今、高校から合格 通知が来たわよ」と喜びながら言った。 俺は内心ホッとして「よっしゃ〜!」とガッツポーズで喜んだ。 おふくろはすぐに学校に電話をして、先生に伝えた。 俺は合格通知書を…

 いつも旬な男の物語(152)〜俺は教師だ!「今、一番綴りたいこと㉗」

「なぁ〜んだ、俺だけじゃないんだ」という失望感も味わった。 特別に俺だけがもらえたんだという優越感にも似た気持ちに浸りたかったんだろうな ぁ。 今思い出すと、先生のことが好きだったんだ(^ ^) 最後にもう一つ受験のことで印象に残っていることがある…

 いつも旬な男の物語(151)〜俺は教師だ!「今、一番綴りたいこと」㉖〜

アイスクリームの思い出の次は、高校受験直前の思い出だ。 二学期の三者懇談で俺は公立高校と私立高校の併願受験をすることに決めた。 本命の公立高校は俺の実力ではギリギリ合格ラインかという状況だった。 滑り止めの私立高校も少し手強いかなという感じだ…

 いつも旬な男の物語(150)〜俺は教師だ!「今、一番綴りたいこと」㉕〜

中3の担任は若い女性で数学の石山先生だった。 天地真理のファンで、学校ではドレスのような服装で授業をすることもあった。 毎日、スポーツタイプのクーペで通勤してくる姿がカッコよかった。 厳しくもあり、面白くもあり、生徒目線で触れ合ってくれた。 印…

 いつも旬な男の物語(149)〜俺は教師だ!「今、一番綴りたいこと」㉔〜

三石先生は、第2分野の生物は得意だったが第1分野が少し苦手だった。 だから、第1分野の物理の時間は、自分も生徒と一緒になって考えながら授業をして くれたのでとてもわかりやすかった。 ある時、授業中にわからないところが出てきて、物理専門の先生に職…

 いつも旬な男の物語(148)〜俺は教師だ!「今、一番綴りたいこと」㉔〜

じいちゃんは背中に銃弾を受けても助かった。 ばあちゃんは空襲警報が鳴る最中に平然と五右衛門風呂に入っていた。 神様に見守られていたんだなあと感じる。 じいちゃんとばあちゃんにもかわいがられて育った俺も小学校を卒業し、中学に入学 した。 俺にとっ…

 いつも旬な男の物語(147)〜俺は教師だ!「今、一番綴りたいこと」㉓〜

じいちゃんから聴いた話で一番強く心に残っているのは戦争の話だ。 小学校では第二次世界大戦と習ったが、じいちゃんはいつも大東亜戦争と言っていた。 こども心に戦争は二つあったんだと思っていたのに。 何のことはない。 世界では第二次世界大戦と言った…

 いつも旬な男の物語(146)〜俺は教師だ!「今、一番綴りたいこと」㉒〜

母方の祖父母は車で30分程のところに住んでいたので、年に数回は遊びに行った。 俺と姉貴だけが祖父母宅に泊まり、次の日に祖父母に送ってもらうこともあった。 じいちゃんは少し背中が曲がっていたが、俺を自転車の荷台に座らせて実家まで送っ くれたことも…