いつも旬な男の物語(173)〜俺は教師だ!「今、一番綴りたいこと㊼」〜
彼女と喋っている間、俺は100円硬貨がどんどん消費されていく音を聞きながら、電
話が切れないように手に硬貨を握りしめていた。
前もって1000円札を売店で両替してもらっていたが、それでもどんどん減っていき、
途中で硬貨が無くなって電話が切れそうになる時もあった。
そんな時は会話しながら財布から1000円札を取り出し、売店のおばちゃんに再び両
替してもらった。
そうやって通話を途切れさすことなく最後まで話し終えた。
今なら、さしずめ携帯の充電が切れないように前もって充電を確認しておくのに等し
いだろう。
携帯電話がある今の時代には考えられないことだが、俺の時代では普通だった。
今から思い返すと本当にあの頃が懐かしく感じる。
彼女とはそれから何度か手紙のやり取りをしながらお互いの近況を伝え合った。
予備校と自宅という学習環境は全く違うが、それぞれの勉強の捗り具合などを手紙で
簡単に報告し合いながら二人でモチベーションを維持しあっていた。
彼女からの手紙は1週間に2〜3回来ていた時は俺のヤル気も保てていたが.....