いつも旬な男の物語(147)〜俺は教師だ!「今、一番綴りたいこと」㉓〜

 

  じいちゃんから聴いた話で一番強く心に残っているのは戦争の話だ。

 

  小学校では第二次世界大戦と習ったが、じいちゃんはいつも大東亜戦争と言っていた。

 

  こども心に戦争は二つあったんだと思っていたのに。

 

  何のことはない。

 

  世界では第二次世界大戦と言ったが、日本では大東亜戦争と言っていただけだと後で

  わかった。

 

 

  じいちゃんも兵隊として戦争で戦い、銃弾の跡が背中に2〜3ヶ所あった。

 

  一緒にお風呂に入ったり、肩たたきをすると決まってその跡が目に入った。

 

  ちょうど米粒を三回りぐらい大きくした穴があり、その淵は少し盛り上がっていた。

 

  俺はその跡を触ったり、押したり、摘んだりしながらじいちゃんの話に耳を傾けて

  いた。

 

  当時の話を聴いても怖くとも何とも感じなかった。

 

  「へえ〜」と言って少し驚くぐらいだった。

 

 

  戦争の話はお袋からも聞いたことがある。

 

  空襲警報が鳴っていて、誰もが防空壕に駆け込んでいた時に、ばあちゃんは平然とし

  て五右衛門風呂に入っていたと!

 

  「おばあちゃん、早くこっちに来て!」とお袋が叫んでも、泰然としていたらしい。

 

  この時も俺は怖いとも感じず、ばあちゃんも呑気だなあぐらいにしか思わなかった。

 

  今から考えると、とても肝っ玉の座ったばあちゃんだった.....