いつも旬な男の物語(163)〜俺は教師だ!「今、一番綴りたいこと㊲」

 

  二人は一緒にフランス語学科の受験会場に向かって歩いて行った。

 

  その会場の中に入ると、そこは階段式のとても広い講義場だった。

 

 

  受験番号と座席の位置を確認すると、彼女と俺はかなり離れた場所だった。

 

  講義場の中に入る時に「ありがとう」とお互いに礼を言って自分の席へと歩を進めた。

 

  俺の席は彼女の席よりも少し高い位置にあるので、彼女の様子がよく見えた。

 

  なぜか俺は心地よい安心感に包まれた。

 

 

  午前の試験が終わり、昼食休憩の時間になった。

 

  受験生がゾロゾロと動き始め、彼女の姿を目で追いながら俺は席を立った。

 

  人を少しずつかき分けながらようやく彼女に追いついた。

 

 

  彼女の肩をポンと軽く叩くと、彼女は振り向いた。

 

  俺は「一緒に昼ごはん食べようか」と声をかけた。

 

  彼女も「うん」と言って肯き、人の流れに合わせながら二人で外に出た。

 

 

  正門から出ると左側に小さな公園があり、そこに都合よくペアのブランコがあった。

 

  そのブランコに腰をかけ、持参したお弁当を食べることにした.....