いつも旬な男の物語(184)〜俺は教師だ!「今、一番綴りたいこと 58」〜
「どうしても志望校に行きたい」
「もし、両親の許可が降りなければ、東京で新聞奨学生として働きながら予備校通い
をする」
俺の強い意思表示のお陰様なのかどうかはわからないが、おやじはおふくろの方を見
て頷いた。
「わかった。ただし、これが最後だ。その心づもりでやれ」とおやじは認めてくれた。
「ありがとうございます」俺は深々と頭を下げてお礼を言った。
半分は期待し、半分は覚悟を決めていたので、どっちの道にしろ俺は方向に迷いはな
かった。
ただ、働きながら予備校に通うとなると、受験勉強の時間が取れるかという不安がち
ょっぴりありながらも、大して心配はしていなかった。
そうなったらそうなったで俺は何とかやってやるという気概はあった。
実際に過酷な状況の中でも、必死に働きながら勉強し志望校に受かっている人もいた
から。
俺もそれに倣って英雄物語の主人公になぞらえていい気分に浸ったこともある。
その方が俺のためにもなったかもしれない...
仮にそうなっていたら、今の俺はどうなっていただろう...
と考えると面白い!
今の俺があの頃に戻ったとしたら、親に甘えずに苦難の道を選んだかもしれない。
しかし、あの頃は両親のお陰様で俺は最善の道を歩ませてもらった。
感謝では言い表せない思いでいっぱいだ。
おやじ、おふくろ、本当にありがとう。