いつも旬な男の物語(180)〜俺は教師だ!「今、一番綴りたいこと 54」〜

 

  宅浪に終わりを告げる日が次第に近づいてきた。

 

  

  宅浪してどこまでの力がついたのかを確かめるために、模擬試験を何度か受けた。

 

  受験勉強らしいことはあまりやっていなかったので志望校合格の判定はかなり厳しい

  ものだった。

 

  それでも、俺は自分の希望する大学を受けた。

 

  

  案の定志望校には落ちた。

 

  予想していたこととはいえ、やはりショックだった。

 

  でも、そのショックより中ぶらりんの状態からやっと抜け出せるという喜びの方が強

  かった。

 

  そのためには予備校に受からなければ話にならない。  

 

  予備校は私立文系コースに決めて願書を提出し、試験を受け合格した。

 

 

  予備校生としての学生証明書をもらったときは「やっと宙ぶらりんの状態から抜け出

  せた」と嬉びもひとしおだった。

 

  高校からの友人である佐兼もコースは違うが同じ予備校に通うことになった。

 

  最初は彼と教室外の廊下で自販機のコーヒーを飲みながらよく喋っていたが、クラス

  の中で何人か仲間ができると次第に佐兼と話をする機会も減っていった。

 

  ようやく俺も社会とのつながりを取り戻し、予備校生ではあるが意気揚々と浪人2年目

  をスタートさせることができた.....