いつも旬な男の物語(177)〜俺は教師だ!「今、一番綴りたいこと 51」〜
宅浪して初めて俺は気づいた!
勉強には自分を厳しく律する必要があるということを。
友だちの佐兼も俺も翌年は予備校に通うことにした。
予備校にも入学試験があるので、その受験勉強をすることが俺たちの当面の目標にな
った。
大学受験より予備校受験という本末転倒の結果になってしまった。
高校卒業時にどこでもいいのなら予備校に入ることはできたが、俺と佐兼は予備校な
らS台だと決めていた。
まあ、自分達で勝手に決め、親のことなんか何も考えていなかった。
望めば何でも叶えてくれるという甘え以外の何ものでもなかった。
学生でもなく社会人でもなく根無草のような状態、それが宅浪時代だった。
大学を出たけれど、就職もせずにぶらぶらしている状態で「今頃みんな予備校で勉強
してるんだろうなあ」「なんかひとり取り残された感じだなあ」と思う日もあった。
でも、それなりに俺は楽しんでもいた。
大学には行くという明確な目標があったから。
高校を出たばかりという若さがあったから。
気心の知れた友だちがいたから。
行きたいところに行ける自由があったから。
受験勉強以外に好きなことができたから。
たぶん自分が何かをしたいと思った時に、それをすることができたというのが宅浪を
楽しめた最も大きな理由だと思う。