いつも旬な男の物語(136)〜俺は教師だ!「今、一番綴りたいこと」⑫〜
石川先生のことで一番印象に残っているのは、絵本の読み聴かせだった。
終わりの会の最後にいつも先生が『おさるのキーコ』という絵本を読んでくれた。
内容についてはほとんど忘れてしまったが、机の上にランドセルを置き、その上に顎
を乗せながら先生の話を聴いていた。
クラスの誰もがこの読み聴かせを楽しみにしていたものだ。
何が楽しかったって、この読み聴かせほど気分をワクワクするものは無いと言っていい
ほどだった。
最初の頃は単にボ〜ッと聞いているだけだったが、聞いていくうちに続きが楽しみに
なってきた。
そのうちに次の展開を予想したりし始め、楽しみが加速されていった。
先生の読み方や語り口がもの凄くうまくて、どんどん物語の世界へとこどもたちを引
きずり込んでいった。
『おさるのキーコ』の読み聴かせは同窓会の参加者全員が一番印象に残っていること
だった。
自分だけかなと誰もが思っていたが、実はみんなの思いは同じだった。
石川先生はまさしく俺の先生だった。
おふくろの本読み指導と石川先生の絵本読み聴かせのお陰様で、俺は.....