いつも旬な男の物語(134)〜俺は教師だ!「今、一番綴りたいこと」⑩〜

 

  最も鮮明に覚えているのはおふくろのことだった。

 

  入学式が終わって帰宅すると、直ぐにおふくろは俺の真っ新なランドセルから国語の

  教科書を取り出した。

 

  何をするのかなと思っていると、その教科書を開いて俺が文章を読めるかどうかを確

  かめようとした。

 

  まずは俺が教科書を読み、読み方のわからないところはおふくろが教えてくれた。

 

  まさにこの日はおふくろが先生だった。

 

 

  おふくろと二人三脚での国語の教科書読みはしばらく続いた。

 

  俺は自分なりにはスラスラと読めていたと思う。

 

  時間にすると30分ぐらいだったと思うが、毎日おふくろが家庭教師のような役割をし

  てくれていた。

 

  お陰で俺は国語の本読みが得意になった。

 

 

  その影響で漫画本を読むのが好きになった。

 

  小学1年生の時から、週刊少年マガジン・キング・サンデーなどを読みまくっていた。

 

  発売日にお小遣いを持って買いに行くのがとても楽しみだった。

 

  家に帰ってきて、おやつに出るお菓子を食べながら漫画本を読んでいる時が至福のひ

  と時だった。

 

  雨がしとしと降っている時などは、更に漫画本を読むのに集中できた。

 

  雨の音が心地よく耳に響き、想像力も一層掻き立てられたのかもしれない。

 

  

  高校生になってからは小説を読むのが好きになったのも、おふくろと一緒に本読みを

  した経験がかなり大きい。

 

 

  ひょっとして、おふくろは.....