いつも旬な男の物語(130)〜俺は教師だ!「今、一番綴りたいこと」⑥〜
親父の仕事の関係で隣町に引っ越すことになった。
当然、幼稚園も転園することになった。
引っ越した家からの登園初日のことだった。
俺は行くのが嫌で嫌でかなり抵抗した。
そんな俺をおふくろは力づくで引っ張って行こうとした。
まるで水上スキーのモーターボートがおふくろで、スキーヤーが俺だった。
水上スキーの場合は水面をスイスイとボートに引っ張られながら滑っていくんだが、
俺の場合はズズズという感じで地面に抵抗しながら引っ張られて行った。
地面に座り込んでもおとなの力には勝てなかった。
いや、本当に地面に寝転んで抱き抱えるのも難しいぐらいにバタバタしたら、おふく
ろも考えを変えたかもしれない。
そこまで抵抗しなかったのは新しい園が嫌なのではなく、それまで通っていた園と別
れるのが寂しかっただけなのかもしれない。
理由は定かではないけれども、こんな強引なおふくろのお陰で俺はその日から登園す
ることができた。
こどもって不思議なもので、それだけ嫌がってた俺も激しく抵抗したのはその日だけ
で、後は楽しく幼稚園時代を送るようになった.....