いつも旬な男の物語(110)〜先生の言葉に救われた㉛〜

 

  その時、富田先生は「そうか、声が出なかったか!よし、わかった!おまえ今からパ

  チンコに行って来い!学校のことは心配するな!」と言った。

 

  俺は「ハイっ!わかりました!」と応えた。

 

 

  俺の復活の狼煙はこの瞬間に上がった。

  

  俺の言葉に「!」がついているのがその証だ。

 

 

  十数年の後に生徒指導関係の会議で富田先生と同席することがあった。

 

  この時、彼はすでに校長先生になっていた。

 

 

  「あの時は富田先生の一言に救われました。今の自分があるのは富田先生のお陰です」

  感慨深げに俺。

 

  「俺は何て言った?『絶好調か!』だったか?」遠い過去に目をやりながら富田先生。

 

  「いえ『パチンコに行って来い!』でした」笑いながら俺。

 

  「そんなこと言ったか」覚えてなさそうな富田先生。

 

  「あの言葉があったから今自分はここにいるんです」少し熱くなる俺。

 

  「『絶好調か?』は覚えてるんだけどなあ」と笑いながら富田先生。

 

 

  本当に救われた言葉は言われた本人しか覚えていないもんなんだろうなあ。

 

  「パチンコに行って来い!」なんて教師になってから今までに言われたことがないの

  で、俺には強烈に印象に残っている。

 

 

  この冨田先生の「パチンコに行って来い!」は.....