いつも旬な男の物語(99)〜先生の言葉に救われた⑳〜

 

  「実は...」俺は生徒の方を向きながら話し始めた。

 

  

  「実はみんなに話したいことがある。すまないが、今日は英語の授業はやらない。とに

  かく俺の話を聴いてくれ」と俺は最初の言葉を放った。

  

  

  横を向いている生徒がいたら前を向くように言った。

 

  それまで少しざわついていたクラスの雰囲気が明らかに変わった。

 

  どんな話が始まるんだろうという興味津々な面持ちで生徒たちは俺を見ていた。

 

  

  俺が今までにない真剣な表情と話ぶりなのに気づき、クラスの誰もが俺の次の言葉を

  待っていた。

 

 

  俺が教師を目指すことになったきっかけ。

 

  教師になり担任をしたら、やろうと思っていたこと。

 

  副担任という仕事に意義を見出せないこと。

 

  この三つを中心に俺の思いの丈を喋った。

 

 

  話をしながら「ひょっとしてこれが俺の最後の授業になるのかなあ」という思いが一

  瞬頭に浮かぶこともあった。

 

  次の瞬間にはそんなことも忘れて、必死に俺の思いを伝えようとする俺がいた.....