いつも旬な男の物語(83)〜先生の言葉に救われた④〜
朝の職員室で生徒が担任の先生の名前を呼ぶ声を聞くたびに「担任になりたいなあ」
という思いが次第に強くなっていった。
同時に「副担任って、いつも教室の後ろに立ってるだけで、全然面白くない」という
思いも強くなっていった。
副担任には副担任としての役割があり、その役割に面白みを見出せれば立派に楽しく
てやりがいのあるポジションだということは、その後しばらくしてからわかった。
でも、大学出立てのエネルギーに満ち溢れていた俺には、どうも副担任という縁の下
の力持ち的なポジションには満足できなかった。
毎日、朝と帰りのホームルームでは教室の後ろに立ちながら、担任の先生の話を聞い
ていない生徒に注意をしたり...
配布物が余れば最後尾の生徒から受け取ったり...
たまに担任の先生の話に耳を傾けたり...
そんなことをしながら、頭の中では「俺だったらこうするのになあ」なんて考えてい
た。
自分の専門教科である英語の授業も、教育実習の時とは違った
教育実習は所詮はまだ教師ではない大学生が行う授業で、後ろではベテランの先生に
見守られていたから、楽しく授業をすることができた。
しかし、教師となると己の力量のみが問われる!
英語の授業こそ俺が自分の好きなように組み立てて実践できる場だった。
その授業でさえ俺は自信を少し失いかけていた.....