いつも旬な男の物語(82)〜先生の言葉に救われた③〜

 

  職員会議の冊子を見て自分が2年の副担任だとわかり、ガクッと首をうなだれそうにな

  った。

 

  「教師になって担任をしたら...」というように、採用前は教師になることは担任をする

  ことだと思っていた。

 

  教師には副担任というものはないと思っていた。

 

  いや、俺には担任しかないと自分で強く決めていたのかもしれない。

 

 

  ところが、赴任校で自分の思いが砕かれてしまった。

 

  これが俺の1年目の初っ端にして起こった最初の悩みだった。

 

  それでも最初の頃はやっと念願の教師になれたということもあり、塾や家庭教師や教

  育実習などとは違った新鮮味を感じていた。

 

 

  しかし...毎朝、登校して職員室で仕事をしていると「〇〇先生いらっしゃいますか」

  という生徒の声をよく耳にした。

 

  その日の日直の生徒が担任の先生を呼ぶ声だった。

 

  その中には、俺が副担任をしている生徒の声も混じっていた。

 

  その声を聞くたびに段々と「俺も担任がしたいなあ」という思いが頭の中で大きくな

  りだしてきた.....