いつも旬な男の物語(93)〜先生の言葉に救われた⑭〜

 

  富田先生に言われるまま俺は2年生の校舎に向かい、1階から3階まで走り抜けながら

  教室にいる生徒に「早くグランドに行け!」と声をかけて回った。

 

  

  3階まで行き、再び折り返し1階まで声をかけながら降りて行こうとして、3階のあるク

  ラスの前を通った時だった。

 

  さっき声をかけた生徒がまだ教室にいた。

 

  「早くしろ!」と声を出そうとしたが、掠れ声になってしまい、胸に痛みを感じた。

 

 

  続けて声を張り上げようとしたが、声が出なかった!

 

  それでも1階まで教室を見回りながら、喉を振り絞って掠れ声を出し、そのまま職員室

  に戻った。

 

 

  職員室に入ると富田先生が「おう、どうだった。声は出たか?」と俺に言った。

 

  「最後の方は声が出ませんでした」と俺は答えた。

 

  「出なかったか」相変わらず笑みを浮かべながら富田先生。

 

  「はい、出ませんでした」もう、早くこの場から去りたいという気持ちに囚われてい

  た俺。

 

 

  すると富田先生はいきなり.....