いつも旬な男の物語(85)〜先生の言葉に救われた⑥〜

 

  若さの持つ無尽蔵のエネルギーとガタイの良さを武器に行う力づくの授業。

 

  俺の授業はそんな要素が多かったのかもしれない。

 

 

  思うように行かない授業と思うようにできない副担任という現実の中で、俺は次第に

  ストレス過多に陥っていった。

 

  他にもストレスが溜まる原因があった。

 

  俺の赴任校はそこそこやんちゃな生徒が多いということで名が知られていたので「

  よし、俺の出番だ!」と張り切っていたが、俺の予想は外れた。

 

  まあ、その当時の俺は力で向かって来る生徒には力で立ち向かって行くんだという血

  気盛んで単純な発想から起こってくる短絡思考のかたまりみたいなもんだった。

 

  そこでも俺の出番がないということで、自分の力(文字通りの物理的なパワー)がま

  たしても発揮できない状況だった。

 

  

  昼食の時間は教室で生徒と一緒に弁当を食べるのだが、最初は生徒たちと楽しくお喋

  りしながら食べていた。

 

  でも、次第に弁当の味がわからなくなり、まるで砂を噛んでるような感じになってい

  った。

 

  

  電車通勤をしていて学校の最寄り駅に降りると、初めの頃は登校途中の生徒に会った

  ら、元気よく「おはよう!」と挨拶を交わしていた。

 

  朝から生徒たちと元気に挨拶を交わすと、爽快感があり「さあ、今日もやるぞ!」と

  いう気分になった。

 

  ところが、ストレスが溜まり出してくると、大きな声で挨拶を交わすが、それはカラ

  元気に終わっていた。

 

  見た目はいつもの俺と変わらず元気に溢れていたが、心の中ではよくため息をついて

  いた.....