いつも旬な男の物語(43)〜教師に憧れて㊸〜

 

  人生で起こった二度のフロー体験!

 

  今思えば俺にとって最高の出来事だった!

 

 

  そんな状態で研究授業が終わり、実習期間もその日の午後と翌日1日を残すのみとな

  った。

 

 

  その日の5時間目はロングホームルーム(学活)だった。

 

  俺が指導するのかなと思って実習生控え室でチャイムが鳴るのを待っていたら、生徒が

  呼びに来てくれた。

 

  「せんせい、体育館に来てください」と言われ、ついて行った。

 

  体育館には既に2年8組の生徒たちが整列して待っていた。

 

 

  生徒に誘導された所に立つと、整列している生徒たちの前に代表の生徒が出てきて、俺

  に感謝の言葉を述べ始めた。

 

  俺は全く想像すらしていなかった!

 

  生徒たちにこんな素敵な会をしてもらえるなんて!

 

  胸に熱い思いが込み上げ目の前が少し霞んで見えた。

 

 

  生徒たちからの感謝の気持ちを聴いた後、俺はお礼の言葉とともにその瞬間に感じた

  思いを伝えた.....

 

  

  彼らの前には大きなグランドピアノが置かれていた。 

 

  ひとりの女子生徒がピアノの椅子に座って弾き始めた。

 

  2年8組の生徒全員が元気な声で歌を歌ってくれた!

 

 

  『今、船出が近づくこの時に.....』

 

  その時の俺にまさにぴったりの曲「マイウエイ」だった!

 

  2週間という短い教育実習を終え、俺はこれから学生という立場から教師に向かって旅

  立うとしていた。

 

  そんな俺に向けて、生徒たちの歌声は強烈な追い風となって俺を大きく前へ進めようと

  してくれていた。

 

  『がんばれ、せんせい!』という彼らの声援を受けて『よ〜し、やってやるぜ!』と俺

  は自分自身に誓った.....