いつも旬な男の物語(42)〜教師に憧れて㊷〜

 

  踏み切り板を気にせずに、まるでスプリントのように全速力で走った!

 

  踏み切り板に目もくれず最速で踏み切りジャンプした!

 

  そして、砂場に着地した。

 

  記録は3m60cmだった!

 

 

  計測した先生がびっくりしていた。

 

  いや、それ以上に俺が驚いた。

 

  それまでの記録が2m台ばかりだったから。

 

 

  もう一度跳んでみた。

 

  踏み切り板に脚を合わせようと意識し過ぎて、踏み切る少し手前から減速していまい、

  記録は散々だった。

 

  3回目も挑戦したが、スピードが出過ぎて踏み切り板を越してしまった。

 

  

  この日は二度と3m60cmを超える記録は出なかった。

 

  後日行われた陸上競技大会でも、走り幅跳びは平凡な記録で終わった。

 

 

  最高記録の3m60cmが出た時の気分がまさしく「ゾーン」状態だった。

 

  走り出してから徐々に身体が軽くなり、まわりのことが全く目に入らない状態で踏み

  切った。

 

  その瞬間は何とも言えないぐらい気持ち良かった。

 

  宙を跳んでいる時も、まるで飛んでいるかのように時間が長く感じた。

 

 

  全てがスローモーションのようにまわりが動いていた。

 

  これが「フロー」状態なんだと後で知り、深く納得した。

 

  これと同じことが教育実習の研究授業でも起こった.....