いつも旬な男の物語(21)〜教師に憧れて㉑〜
俺が教師を目指すきっかけとなった6つ目は、バイトで塾の講師を務めたことだった。
これも俺が大学3年の終わり頃に、大学の厚生課で見つけたアルバイトだった。
場所は家から原付バイクで20分ぐらいのところにあり、是非ともやってみたかった。
家庭教師と違って、複数人の生徒に教えるので教師を目指すに当たっては、とても
いい経験になるだろうと思った。
他のバイトと同じように電話で面接の日時を決め、その日に塾長と面接をして即採用と
なった。
俺の受け持ちは中学2・3年生で、生徒数はともに12〜13人程だった。
週2回で1日2時間、2年生と3年生の1クラスずつを教えていた。
教材は塾の指定した問題集で、個人で問題を解かせながら疑問に思ったら、その都度
個別に教えていた。
新しい単元に入る時はホワイトボードを使って全体に教えることもやった。
ひとつの長テーブルに2〜3人掛けで座るので、ひとりの生徒の質問に答えている時
隣の生徒も一緒になって聞いたりもしていた。
また、或る時は競争みたいにして問題を解きあっている生徒たちもいた。
生徒たちが集中し出してくると、俺とのやりとりも波に乗り、生徒たちの理解力も増し
てくる。すると、解き方や答えがわからなかった生徒もわかるようになる。
この少ない集団での指導体験は俺にはとても心地よく感じられた。
家庭教師とは違った面白さに俺は魅了されていった.....