いつも旬な男の物語(16)〜教師に憧れて⑯〜

 

  早速、相手宅に電話をかけた。

 

  軽く自己紹介をし、面接の日時を確認して受話器を置いた。

 

  この頃は今みたいに携帯電話がなかったので、学内の公衆電話から電話をした。

 

 

  相手宅は大学からバスで15分ぐらいのところだった。

 

  住所を頼りに自宅の玄関先まで行き、ベルを鳴らした。

 

  中から母親らしき人が出てきて、中へ案内された。

 

 

  通された部屋には母親と息子がいた。

 

  俺は簡単に自己紹介をしてから、二人からの質問に答えたりした。

 

 

  30分ぐらい経って母親が息子に「勉強を教えに来てもらう?」と聞くと

  「うん」と彼は答え、俺の採用が決まった。

 

 

  早速、その日から家庭教師が始まった。

 

  2階の勉強部屋に行き、これからの指導内容と教え方について話をした。

 

 

  進学塾にも行っており、そこで使っているテキストで教えて欲しいという希望だった。

  そのテキストは或る私立中学で使用しているもので、内容は公立の教科書よりも難しか

  った.....