いつも旬な男の物語(9)〜教師に憧れて⑨〜

 

  長期間の泊まり込みでのアルバイトは、これが二回目だった。

 

  最初は大学1年生の夏休みに、新潟の妙高高原のペンションで働いた。

 

  

  元来が一人でどこへ行くのも好きなのと

  寮生活での仕事が二回目だったということもあり

  今回も旅行気分で出かけたのだった。

 

 

  作業内容は自動車の組み立ての溶接部門だった。

 

  溶接といっても資格の必要な作業ではなく

  ボタンを押せば機械が自動で溶接をしてくれる作業だった。

 

  ラインで運ばれてくるドアのフレームなどを一枚ずつ両手で前に押して、一旦枠の中に

  収まったのを確認してからボタンを押した。

 

  ボタンを押せば機械が溶接をして一枚が完了する。

 

  すると、再び同じ種類のフレームが運ばれてきて同じ作業を繰り返す。

 

 

  大雑把に言えばこんな作業で、とても単調だった。

 

  機械相手のアルバイトは初めてで、単調さのあまりストレスが溜まりがちだった。

 

 

  週休二日制で土日が休みだったので、土曜日の勤務が終わったら実家に帰り

  日曜日には寮に戻り、気分転換を図っていた。

 

 

  寮生活にも慣れた頃、たまたま寮で同室だった男性と鈴鹿の飲み屋で一杯やることにな

  った.....